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2013年3月21日木曜日

コラムのご紹介

コラムのご紹介です。



☆キム・ヨナがパーフェクトで優勝、浅田は成長の演技で銅

 
終わってみればベテラン組の圧勝だった。ISU 世界フィギュアスケート選手権 2013の女子フリースケーティングが3月16日行われ、キム・ヨナ(韓国)が完璧な演技で218.31点をマークし優勝、ショートプログラム6位の浅田真央はミスはありながらも質の高い内容でフリー2位に追い上げると、総合196.47点で銅メダルを獲得した。カロリーナ・コストナー(イタリア)は完成度の高い演技で銀メダル、村上佳菜子は力強い演技で4位と大健闘、鈴木明子は調子が上がらず12位となった。
 
 
 
 

浅田、6年ぶり自己最高
「ここまで努力してきてよかった」

完璧ではなかった。しかし成長を示す演技だった。ここ2年連続で世界選手権6位だった浅田は、14日のショートで6位発進となると、「ここまでやってきた事は何だったんだろうという思いがあった」という。
 

 
それでもショートではトリプルアクセルを成功したことを胸に、フリーの6分間練習でも流れのある綺麗なトリプルアクセルを決めた。「今シーズン後半は、トリプルアクセルを入れられるコンディションに持って来れている。最高のレベルで練習してきた」。そう自信を得た浅田は、演技冒頭のトリプルアクセルを「無心で跳びました」。
 
結果は両足着氷だったが、回転は足りており認定。「回りきっていたのであともう少し。あとは(左足を後ろに)引くことだということが、ちょっと意識が薄れていました」という。続く3回転+3回転の連続ジャンプでミスはあったが、そこから後半は安定感のある演技で魅せた。
 
「最後は気持ち良く自分の力を出せました。ミスもあって得点はそこまで伸びなかったけれど、今季は初戦からの練習の過程がすごく充実していましたし、ここまでやってきて良かったと思えました。来年は五輪なので、しっかり練習して力を発揮したいです」。3年ぶりのメダルを胸にほほえんだ。
 
 
 
 

キム、完璧演技でハイスコア、コストナーは精神力を示す名演技

キムは、精神力も技術力もすべての力がピタッと合わさったような、完璧な演技だった。冒頭の3回転ルッツ+3回転トウループの連続ジャンプは、流れもスピードもあり、まったく不安を感じさせない。『レ・ミゼラブル』の悲哀あふれるストーリーを、全身を使った演技で表現した。
 
得点は148.34点の高得点。これは浅田より14点近く、コストナーより18点以上も高い、圧倒的なスコアだった。すべてのジャンプを回転不足なく着氷し、その出来栄えもほとんど「+2~3」。一点のミスもなく途切れない演技は、ジャンプの転倒などでバタバタしてしまう演技に比べて、自然と芸術面の得点もプラスになる。結果、「演技」と「音楽表現」で9.36点と高い評価を得た。
 
緊張感ある演技が終わった瞬間、フウッと大きく息をつく。ノーミスの演技への笑顔というよりは、安堵の顔だった。「ベストを尽くしたので良い得点になると思って結果を待ちましたが、まさかこんな高得点になるなんてびっくりです。今回は復帰ということで注目されて色々なプレッシャーがありましたが、普段の練習でミスなく滑りきっているので、自分を信じて落ち着いて滑りました。自分にとって最後かもしれない世界選手権でいい演技をできたことが本当に嬉しいです。韓国の若いスケーターたちのために五輪3枠をとれたことが一番の収穫です」。そう話すキムの顔はちょっと大人びて見えた。
 
 
 
 
銀メダルのコストナーも、名演技だった。フリー直前に鼻血が出るも、演技をスタート。ハプニングを感じさせない落ち着いた演技で、雄大な3回転ルッツや、3回転フリップ+3回転トウループを成功させていく。『ボレロ』のモーリス・ペジャール版を取り入れたモダンな振付の演技を見事に演じきる。
「(鼻血が出たが)とにかく自分に演技に集中しようと思い、観客が声援を送ってくれているのも見えたので、中断はまったく考えませんでした。こうしてメダルを取ることができて誇りに思います」とコストナー。精神面が弱いと言われてきた彼女が、誰よりも強い心を示した演技だった。
 
 
 

 村上はコーチと喜びの抱擁、鈴木はラストシーズンへ雪辱

 
 
 
ショート3位と好発進の村上は、フリーも渾身の演技をみせた。冒頭の3回転ルッツを、いつもの練習と寸分違わぬスピードとタイミングで、ピタリと決める。完全に練習どおりの動きで、そこからは不安要素なく、次々とジャンプを決めた。演技を終えて、山田満知子コーチと抱き合って大喜び。「心の面で大きく成長できたシーズンでした。いつも試合前は緊張して焦ってしまうことが多かったのですが、ショートもフリーも落ち着いてできました」と満面の笑みをみせた。
 
フリーは123.09点、総合189.73点で、キム、コストナー、浅田についでの4位と大健闘。「私は置いていかれてない、という自信になりました。まだミスがなくてもフリーの点が低いので、表現力や滑りが足りないのだと思います。もっとなめらかに滑れるようにしていきたいです」と意欲を語った。
 
 
 
 
一方、鈴木はジャンプに苦しめられる大会となった。ショートでの不調は、フリーになっても調整が効かない。冒頭の3回転フリップを回りきれず、続くダブルアクセルで転倒。そこから立て直しがきかないままミスが続き、フリーは103.42点で、総合12位となった。
 
調整ミスの原因は、練習リンクと本番リンクでの氷の質が違ったこと。本番リンクは柔らかく、スピードを出して思い切り踏み切らないと、ジャンプのタイミングが狂うのだ。もちろんその調整も含めて実力であることをベテランの鈴木は痛いほど分かっていたが、練習リンクで調子が良すぎただけに、気持ちの切り替えが難しかった。「本当は調子がいいのにって思ってしまったんです。こちら側からリンクの質に合わせなければならないのに、(受身になり)氷がしっくりこないと思ってしまいました。自分を信じきれなかったのだと思います」と肩を落とす。
 
 
 
 
昨年は世界選手権3位と活躍し、そのプレッシャーを背負った今季は成績に波があった。四大陸選手権では好演技をしており、課題はピーキング。「あと1年と決めているので、この経験を無駄にしないようこれからの糧にしたい」と雪辱を誓った。
 

カナダ主催の世界選手権、
大声援が生んだ名演技

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カナダをあげての大イベントとなったISU 世界フィギュアスケート選手権 2013は、選手だけでなく、応援も素晴らしい大会だった。もともとお祭り好きな性格の上に、フィギュアスケートへの愛着も強いカナダ人。たとえ選手が1つ目のジャンプを失敗しようとも拍手で背中を押し、最高の演技を引き出そうと会場全体がサポートする。結果として、浅田は6年ぶりに、コストナーは鼻血を出しながらも、そして李子君(中国)、グレイシー・ゴールド(米国)、村上佳菜子らが、渾身の演技で自己最高得点をマークした。
 
アメリカ期待の若手、グレイシー・ゴールド。

ロシアをけん引する16歳。「モスクワの天才少女」アデリーナ・ソトニコワ。

17歳のカナダ女王。プレッシャーを感じさせない演技で7位に。

エリザベータ・トゥクタミシェワ。
体重調整に苦労したシーズンだったがそれでも演技をまとめてくる非凡な才能を感じさせる。

中国のジジュン・リー。
FSだけなら4位と大健闘。人を幸せにする滑りをする16歳。

村上佳菜子。総合4位入賞。
 
カナダの国旗色のジャージを着た観客らが、何度もスタンディングオベーションや声援を送り、揺れに揺れたスタジアム。フィギュアスケートへの愛を感じる大会となった。

世界フィギュア2013 キム・ヨナ選手FS&EX

世界フィギュア2013のキム・ヨナ選手FS&EX、写真集です。



















三者三様の才能と個性が輝いた!

コラムのご紹介です。

三者三様の個性が輝いた!世界フィギュア女子に見た醍醐味。



田村明子 = 文

text by Akiko Tamura
photograph by Getty Images


「SPで6番になってしまったとき、去年の世界選手権でも6番で、今までやってきたことは何だったのだろうと思いました。でも2シーズン後に(表彰台へ)戻ってこられてすごく嬉しいです」

 浅田真央は、ロンドン(カナダ)で開かれた世界選手権の記者会見でそう語った。穏やかで落ち着いた、良い表情をしていた。

 今シーズン出場した試合すべてで勝ち続けて、2月の四大陸選手権では封印していた3アクセルもきれいに決めた。だが今大会のSPでは冒頭の3アクセルを決めたものの、フリップが回転不足になり、最後のループジャンプがパンクして1回転になってしまうというミスがあった。

 今シーズン初めて顔を合わせるキム・ヨナ、カロリナ・コストナーらとメンバーが揃った中で、全員がノーミスで滑ったらどのように採点されるかを見たかっただけに、残念だった。


☆3年ぶりに世界選手権の表彰台に返り咲いた浅田真央。




 それでも得点は62.10を得て、ノーミスで滑って5位だったアシュリー・ワグナーとわずか1.88差だった。それも今シーズン、浅田が着々と築き上げてきた5コンポーネンツ(スケーティング技術、音楽表現など)の評価の高さのおかげである。

 フリー「白鳥の湖」のときは、直前の6分間ウォームアップで佐藤信夫コーチも驚くような完璧な3アクセルをきれいに決めた。本番では両足着氷になったものの、回転は回りきった。次に予定していた3フリップ+3ループのコンビネーションがフリップの着氷でバランスを崩して単発になったことは勿体なかったが、後半の2アクセル+3トウループなども成功させて最後までよくまとめた。

 フリーは2位、総合3位で3年ぶりに世界の表彰台に返り咲いた。

FS「白鳥の湖」スタート。息をのむほど美しい一瞬。




「今日のフリーは練習してきたことを出そうと思ってやった。3アクセルと3+3は悔しかったけれど、そこから気持ちをうまく切り替えることができて良い終わり方ができました。充実したシーズンだったと思います」

 勿体ないミスもいくつかあったが、シーズンを通して戦い続け、表彰台に乗り続けた浅田真央は、満足げな表情でそう締めくくった。



☆3年前と変わらぬ演技。圧巻の強さを見せたキム・ヨナ。




 優勝したのは、2年ぶりに世界選手権に戻ってきたキム・ヨナだった。久しぶりに見るキムは、びっくりするほど強かった。

 バンクーバー五輪で金を獲得した3年前と少しも変わっていない、スピードのある3ルッツ+3トウループ。他の女子たちは、もっと難易度の低いトウループの3+3ですら四苦八苦しているというのに、なぜ彼女だけあれほど軽々と跳ぶのだろう。フリーでは、合計6回の3回転ジャンプを成功させた。まったく危なげのない、失敗しそうにない演技だった。SPではまだ様子を見ながら点をつけていたように見えるジャッジも、フリーでは気前よくGOEの加点をつけ、2位に20点以上の点差をつけた圧勝だった。

☆「スケートを愛しているから戻ってきた」


「バンクーバー五輪で金を取って目標が達成できてから、しばらく心が空っぽになった思いだった。もう一度五輪に挑戦すると決めたのは、スケートを愛しているから。もう一回目標は達成しているので、勝たなくてはならないというプレッシャーはない。ただスケートを楽しみたいと思ってこの試合に挑みました」

 キム・ヨナは、会見でそう語った。心なしか以前よりも角が取れて、大人の女性の表情になっている。




「五輪というのは、特別な体験。五輪枠を取って、韓国の若手の選手も一緒に連れて行ってあげたいと思っています」

 そう言って、若手の育成も心にかけていることを口にしたのは、2018年平昌五輪のことを考えてのことだろう。

 12月に彼女が復帰したNRW杯の映像では、まだまだフリーは試合に向けての調整ができていないように見えた。だがこの世界選手権では、ジャンプは驚くほど安定して無駄な力が入らず、SPでフリップに不正エッジの判定が出た以外ほぼ完璧だった。スポーツ選手として、久しぶりの大舞台でここまでの調整をしてきたのは見事だったとしか言いようがない。







 点差について聞かれると、「多くの試合に出てきたけれど、その試合によってジャッジも違えば私たちの演技の内容も違うし、出る点数も違う。今日の点数が必ずしも今後の参考にはなりません」と、大人らしい対応をした。

 ただあえて言うならば、SP、フリーともにジャンプに集中しているように見え、プログラム全体の印象が心に残らなかった。「強い」ということ以外のキム・ヨナという人となりが、氷の上の演技を通して伝わってこなかった、と言ったらいいのだろうか。

☆フィギュアの本質を問う、コストナーの演技と言葉。


 この大会でもっとも心に残ったのは、カロリナ・コストナーの演技と言葉だった。SPでは3+3トウループの最後で転倒したにもかかわらず、3ルッツ+3トウループを成功させたキムとの点差はわずか3.11。もしコストナーが完璧に滑っていたなら、おそらくジャッジは彼女を1位にしたのではないかと思う。

 だがフリーでは、コストナーは演技直前に鼻血を出すというハプニングに見舞われた。懸命に鼻の根元を押さえて苦笑いしながらも、スタートした「ボレロ」はモダンバレエの舞台を見ているような美しいプログラムだった。これをノーミスで滑りきったら、フィギュアスケート史上に残る作品になるのではないか、とすら思わせた。スピンのときに鼻を片手で抑えていたのも、まるで振付の一部に見えるほどエレガントだった。だが演技の内容は彼女のベストとは程遠く、特に終了直前の3サルコウの転倒は響いた。





 結果はフリー3位、総合2位。11回目の世界選手権、5個目のメダルだった。

「この11年間、フィギュアスケートとは何かということを私なりに考えてきました。私は口下手なので、言葉で自分をうまく表現できない。でも完ぺきではないけれど、これが私なのです、と氷の上なら自分を表現できる。フィギュアスケートはジャンプだけではなくて、一つの芸術の形だと思います」

 コストナーが会見でそう言った言葉は、彼女のスケートに対する姿勢そのものを表現していた。

☆異なるスタイルの一流選手が競い合ってこそ、フィギュアは面白い!


 ひたすら純粋に、ひたむきに自分の向上を目指して進み続けるピュアな浅田真央。

 圧巻の運動能力と意志の強さを感じさせるキム・ヨナ。

 そして、氷の上の芸術家であるカロリナ・コストナー。

 誰もがその個性を、氷の上で表現している。こうしたさまざまな違ったタイプの一流選手が揃ってこそ、フィギュアスケートは面白い。今回ロンドンでは女子シングルがもっとも面白い試合展開だった。

 さらに言うとSP3位、総合4位だった村上佳菜子の成長ぶりも、とても印象的だった。特にSPの完璧なまでの美しさは、彼女のこれまでの演技の中で、最高だったのではないだろうか。




 11カ月後のソチ五輪では、これらの色とりどりの花たちがたった1個の金メダルを求めて激しく競うことになる。誰がどのような咲き誇り方を見せるのか、今から楽しみである。